Title  年末調整の基礎知識
情報提供:椎葉税理士事務所
update:01/10/1

個人に対する所得税は、本来毎年1〜12月の年間所得合計に対して課税されるものです。
ただし、給与所得者(役員及び従業員)については、月々の給与支払時に概算で所得税を徴収し、事業者が代わって納付するという制度が採用されています。

年末調整とは、法人・個人に関わらず、給与支払者(事業者)が個人に代わって所得税を精算する以下の作業を言います。

通常 事前の資料準備を事業主に行っていただき、面倒な計算や書類作成などは会計事務所が代わって処理を行っています。
  1. 役員及び従業員から月々徴収した税額を合計
  2. 年間所得及び各種控除額の確認
  3. 正しい所得税の年税額を計算
  4. 1)と3)の差額を計算
  5. 個人別に過不足額を精算
  6. 個人別の年間所得についての書類提出
年末調整についての概要は以下の通りとなります。

◆ 年末調整の対象者

原則として「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されている人が対象となります。

最近では税務署のチェックが非常に厳しくなっていますので、申告書は必ず本人に記入・提出してもらってください

  • 年末時点で勤務している人
  • 年の途中で退職し、以下に該当するの人
     死亡により本年中途退職した人
     著しい心身障害のため、復職不可能な人
     パート等で、年間給与総額が103万円以下の人
  • 中途から海外勤務等で、日本に住んでいない人
     (1年未満の非居住者)


◆ 年末調整が不要な人

  • 本年最後の給与支払前(もしくは12月31日以前)に退職した人
  • 「扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人
  • 本年の支払給与額が2000万円を超える人
  • 国内に1年以上住所または居所のない人(非居住者)
  • 2箇所以上の給与所得があり、
    他社に扶養控除等申告書を提出している人
  • 災害被害者で源泉所得税の徴収猶予または還付がある人


◆ 年末調整の時期

本来「年末調整は、その年最後の給与または賞与支払の際に行いなさい」というのが税務署の指導です。

ただし中小の事業所では、会計事務所に作業を委託しているケースが多く、事務の都合上書類提出の納期に合わせた翌年1月に行われているのが実状です。

事業者は預り所得税納付の際に、差額合計を追加もしくは減額した所得税を納付することになります。

書類提出や納付の期限は以下の通りです。
  • 書類の提出期限−−−−−1月31日
  • 所得税の納付期限
    • 毎月納付の事業者=1月10日 もしくは 2月10日
    • 納期特例の事業者=1月20日

      納期特例の事業者とは、所得税の納付を、年2回(7月と1月)だけ行っている事業者を言います。
◆ 主な年末調整の作業(事業主側が行う作業)

1)年末調整計算のもとになる控除申告書及び必要書類の準備
  • 各従業員(役員)本人が12月現在の状況を記入添付が必要な証拠書類を準備してもらいます。
    • 扶養控除等(異動)申告書
       各自の扶養家族の氏名、年齢、就業状況等を記入したもの
    • 保険控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書
      • 生命保険料及び損害保険料
         保険支払額から控除額を計算して記入
      • 配偶者が扶養家族の場合
         配偶者所得及び控除額等を計算して記入
      • 本人及び扶養家族が支払った社会保険料を記入
      • 中退共への支払額があれば記入
    • 住宅取得特別控除申告書
       住宅取得特別控除を受けている人は、 借入残高証明と申請書が必要

2)源泉徴収簿の記入(今年在職した人すべて)
  • 個人別の12ヶ月間の支払給与・賞与等を記入
  • 中途入社の従業員については前職の源泉徴収票が必要です。

3)準備資料を会計事務所へ
   ⇒ 会計事務所が年末調整処理を行います

4)年末調整計算結果を受取り、確認

5)各個人に源泉徴収票を配布し、差額を還付(徴収)

6)全社での所得税差額を含めた預り所得税を納付

7)法廷調書への押印
   ⇒ 会計事務所が所轄官庁に提出します



年に1度の作業でもあり、慣れない方には書類の書き方などが分かり難い部分が多いようですので、会計事務所の担当者等と相談しながら準備を進められることをお勧めします。

 年末調整の手続(一件楽着)
 年末調整のしかた(国税庁タックスアンサー)




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